お囃子編

阿波おどりでは、グループの事を“連”と呼び、そのなかでも踊り手達を支えているのがお囃子です。

近年では鉦、大太鼓が中心になってリズムを形成していますが、これは大きな音の方が観客に 注目されるのと、踊り手の人数が80人ぐらいになると先頭(高張り)まで聞こえないという理由があり、次第に鉦、 大太鼓の音が大きくなっていきました。

しかしながら余りにも大きくなり過ぎて三味線の音色がかき消される様になり、情緒や風情がなくなってしまいました。

しかし最近では、昔ながらの三味線を活かした風情ある『ぞめきのリズム』を目指している連が増えている様です。もちろん新橋連でも目指しています。

やはり踊りがメインの阿波おどりですので、余り注目されないお囃子ですが、お囃子の事を知るともっと阿波おどりを楽しめると思います。

ぞめきのリズム

阿波おどりの歴史は400年以上…徳島の人達は生まれながらお囃子が奏でる『音』を聞いて育ちます。耳に残る阿波おどりの音色・雰囲気そしてざわめき。そのことを徳島言葉で『ぞめき』と呼んでいます。

ぞめきのリズムとはいわゆる「浮拍子」で、洋楽をやっている方には『ブギウギ』や『シャッフル』と言った方が分かりやすいかもしれません。

阿波おどりに限らず、浮拍子で作られたどの曲を聞いても何故か心が浮かれてきて楽しい気分になってくると思います。ディズニーのミッキーマウスマーチなどが良い例だと思います。

また、ぞめきのリズムの場合「ツッカ、ツッカ、ツッカ…」と単調なリズムが連続して続いていきます。最近のダンス系ミュージックを聞いても分かると思いますが、単調なリズムが連続しますと、心地よい興奮状態に陥りやすくなります。

『浮拍子』と『単調なリズム』。この二つの組み合わせが阿波おどりの魅力の一つと言っても過言ではないでしょう。

三味線

なんとも言えない風情ある音色、それが三味線です。 三味線は初期の阿波おどりから使用されている楽器で、阿波おどりとは切っては切り離せない存在になっています。 しかし、近年では奏者の減少などにより、鳴り物の主役の座を鉦や大太鼓に明け渡している格好になっています。

流し踊りの時は、お囃子の先頭にたち踊り手との距離の調節をする役割をしています。また『高弾き』をはじめ 色々なことをしていますので、耳を済まして聞いてみると結構面白いかもしれません。

横笛

阿波おどりで使用される楽器の中で、唯一旋律的なメロディーを奏でるのが横笛です。 演奏されている曲は『阿波よしこの』『よしの川』などで、この二つの曲は連によって様々なバリエーションがあり、各連ごとに聞き比べてみるのも楽しいかもしれません。

また阿波おどりの歴史の中で、横笛が使われるようになったのは比較的新しい時代からだそうです。

音の隙間を埋めるように叩いているのが鼓で、太鼓系の楽器では一番高い音が出ます。連によって叩き方や音の違いがかなりあるようです。 また、鼓を使用していない連もあります。

鼓には指先で叩く小鼓と、張子(はりこ)で叩く大鼓があり、新橋連では大鼓を使用しています。

締太鼓

軽快なリズムを奏でているのが締太鼓です。時にはやさしく。時には力強く。奏者のセンスも要求される楽器です。

現在の阿波おどりでは、鳴り物の中心的な存在で、音を止めたりテンポを変えたりとオーケストラで言うところの指揮者のような役割をしています。

撞木(しゅもく:鹿の角)で打ち鳴らせば『カカン、カラリン』と遠くからでも良く聞こえる甲高い音が出ます。

大太鼓

鳴り物の最後尾を行くのが大太鼓です。 心臓に『ドッコ、ドッコ』と響く重低音を聞いていると、自然と心が浮かれて来てしまいます。

しかし、タダでさえ大きな音が出る楽器ですので力任せにバカスカと叩いてしまうと、聞いてる人には心地よいどころか逆に圧迫感を感じさせてしまったり、 三味線や笛の音色が かき消されてしまい風情が出てこないので、程よい音量を保つことで鳴り物全体のバランスがとれています。

その他の楽器

基本の楽器は上で説明した6つで、他に竹や樽があります。

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